バンパイアな読み物なら「黒塚」(夢枕獏)が最強

黒塚

バンパイア狂のボクが、最初にはまったバンパイアな物語「黒塚」

そこらへんのバンパイアな話とはわけが違う

バンパイアを題材にすると、どうしても人間との戦いなどを描き、その一瞬だけがクローズアップされて話が流れる物がほとんどです。

でも、「黒塚」はそうではありません。本来、バンパイアとは不死、とてもとても気が遠くなるくらいの長い時間に身を置いている存在です。

「黒塚」はそんな長い時間が一つのテーマになっています。

時間の流れ

「黒塚」では、源治と平家の時代、今からおおよそ1000年以上前から話が始まり、どんどん時間が流れ、未来にまで話は続きます。

そんなとても長い時代を描写するのに、わかりにくくなることはなく、むしろ一気に読めてしまいます。本を読むのが苦手なボクでも読めました。

バトル要素

主人公はいつも誰かに追われています。未来になるまで誰かに追われています。その際には、かなりの戦いが繰り広げられます。

戦いを文章にして誰かに伝えるのって至難なワザだと思います。ゲームやアニメならキャラクターの動きに合わせて、ビシッ!バシッ!と効果音を付ければ済むことですが、小説ではそういうわけにはいきません。動きがイメージでき、かつ凄まじさを伝えなくては面白くありません。

そんな表現するのが難しい戦いを安々と書いてしまっているのが「黒塚」。そもそも、この小説の作者である夢枕獏さんは、バトル物でも定評がある作家さんですので、当たり前のことなのかもしれませんが、ほんと圧巻です。

恋愛要素

なんだ恋愛モノかぁ~、と思う人がいるかもしれません。何を隠そう、ボクもそんな中の1人です。恋愛モノだというだけで距離を置いてしまいます。

でも「黒塚」だけはぜんぜん違いました。恋愛といっていいのでしょうか?恋愛というか『つながり』?バンパイアのような死なない存在が、永遠の時を刻むと、恋愛なんかでは言葉が足りないのかもしれません。それが「黒塚」にはあります。

歴史要素

時代の流れで源治と平家の時代と触れましたが、まさにその時の主役が出てきます。義経に弁慶。最初と最後がつながり、ありとあらゆる点が線になる瞬間、その瞬間にあなたは震えることなくこの小説を握ってることができるでしょうか?ラストは圧巻です。

ボクと黒塚と夢枕獏

ここでボクとこの作品「黒塚」との出会いについて少し書かせていただきます。

話はボクが夢枕獏さんという作家の作品に出合うところから始まります。ボクが夢枕獏さんの作品に出会ったのは18歳の時でした。

進学をせずにバンドで成功してやるんだ!と息巻いていた時でした。当時、高校生だったボクのまわりは進学ムード一色で、誰も遊んでくれる人がいない悲しい状態でした。

それじゃーしょうがない。普段しないことでもしてみようという事で、図書館に出向いたボクが出会ったのが「ものいふ髑髏」でした。「ものいふ髑髏」は短編集が集まったらホラーものだと記憶しています。

この作品を皮切りに一気に夢枕獏さんのファンになったボクは、次々と関連する本を読みました。

とても長い作品「餓狼伝シリーズ」もチャレンジしましたが、ちょっと長い系は苦手でした。何冊か読んでいきましが、途中で頑張って読んでいるなと思い、すぐに重荷に感じてしまい読むのをやめました。

飽き性な性格なので、それからはシリーズものではなく、一冊ないしは二冊ぐらいで読み終わるものばかりを読みました。

「ハイエナの夜」「上弦の月を喰べる獅子」「神々の山嶺」など、どれも当時10代だったボクには大好物な内容も含まれていましたし、とにかく大好物でした(笑)

そんな時に出会い、これ以上の夢枕獏作品はないと思ったのが「黒塚」でした。

ボクの人生で同じ小説を3回以上読むことは絶対ないと思っていましたが、「黒塚」だけは別格でした。

最初は図書館においてあるデッカイ堅い本で読みました。そして、数年後にある本屋さんの新書コーナーで出会いそれを買い、また読みました。3度目は「黒塚」がマンガ化・アニメ化され「KUROZUKA」として息を吹き返したのを知り、それを読み、または観て、以下のように思ったので小説版を読むことにしました。

『ボクが知っている「黒塚」じゃない!この「KUROZUKA」は「黒塚」じゃない!確かめてやる!」

小説から伝わってくる情景、キャラクターの人相・声を、ボクはボクなり持っていました。具現化されたそれとはやっぱり違っていました。

(原作を超えることはできない)なんて言葉をときどき聞きますが、ボクの(原作を超えることはできない)は意外と早くみつかりました。やっぱり、原作が最強でした。

最後に伝えたいこと

マンガ・アニメの「KUROZUKA」しか知らないあなた、またはまだ「黒塚」を読んだことがないあなた。小説の「黒塚」はいいですよ。読んでくれたら、あなたの人生の一部に「永遠に」残るはずです。バンパイアなだけに。

黒塚

ABOUTこの記事をかいた人

畑本アントニールイス(アント)Antony Louis Hatamoto/2015.10〜広島県三次市地域おこし協力隊/中小企業診断士をTACで学習中(2017合格予定)/主に地域おこし、情報発信、経営の3点に関連した情報を研究、発信します/田舎での起業、経営に特化したコンサルタント(協力隊任期後)